寿司の起源と歴史をたどる
寿司の起源、とりわけ現在、世界的に知られている握り寿司の始まりは、約200年前の江戸時代にさかのぼります。場所は江戸、現在の東京です。寿司という食文化は、日本を舞台に形作られてきました。
寿司の起源、特に、世界的に知られる握り寿司は江戸、現在の東京で生まれました。寿司の長い歴史は、日本の国を舞台に発展を続けてきました。
「寿司はノルウェー発祥なの?」「中国が起源なの?」「アメリカで生まれた料理ではないの」などと耳にした人も中にはいるかもしれません。しかし、それらの話は事実とは異なります。
この記事では、寿司がどのように誕生し、どのような変化を重ねながら、今日の世界的な料理へと発展していったのか、起源から順を追って紹介していきます。
寿司の歴史と起源「寿司はどこで生まれた?」

一口に寿司と言ってもさまざまな種類があって、世界的に知られている握り寿司もそのうちの一種です。寿司の最も古い形は、自然発酵させた魚で「なれずし」と呼ばれています。
東南アジアや東アジアでは、魚を保存するために、米と塩と一緒に魚を詰め、数カ月、場合によっては1年以上発酵させる方法が用いられていました。この魚の発酵食品は、食べる際に米は捨てられ、漬け込まれた魚だけが食用されます。
この魚の保存方法が後に、日本へ伝わります。自然発酵させた魚は日本語で「なれずし」と呼ばれ、8世紀の日本の歴史書にも記されています。現在私たちが知る全ての寿司の祖先と言えます。
寿司の起源と歴史の年表

8世紀:なれずしの誕生(発酵魚)
8世紀の日本の歴史書に「なれずし」と呼ばれる発酵魚が登場します。この寿司は、完成までに非常に長い時間を要しますが、その製法は現在も、日本各地で受け継がれています。
室町時代(1336~1573年):生なれずし(半発酵の魚と米)への進化
室町時代になると、なれずしは「生なれずし」と呼ばれる半発酵の寿司へと進化します。発酵期間が数日から数週間に短縮され、酢が使われるようになりました。発酵期間が短縮された結果、米が溶けきらなくなったため、魚と米を一緒に食べる習慣が生まれます。

江戸時代(1603~1867年):早ずし(押し寿司など)の誕生
やがて、発酵そのもの工程を省き、酢で酸味を加える方法が考案されます。「早ずし」と呼ばれる寿司で、現代の寿司の基礎となりました。
早ずしの製法の1つに、酢飯と魚介を箱や型に詰め、重しの石で押す作り方があります。いわゆる「押し寿司」で、大阪で有名なバッテラ寿司、富山県の名産であるます寿司など、さまざまな押し寿司が各地で現在も親しまれています。

江戸時代末期の文政年間(1818~1830年):握り寿司(早ずしの進化系)の誕生
江戸時代の末期である文政年間になると、早ずしの一形態として握り寿司が登場します。複数の職人が試行錯誤を重ねましたが、現在に通じるスタイルを作り上げた人物として、華屋与兵衛(はなやよへい)が広く知られています。
握り寿司は、型などを使わずに酢飯を手で成形し、生魚、貝類などの具材をのせて、握って完成させる食べ物です。

第二次世界大戦後:江戸前寿司の全国への広がり
江戸(現在の東京)で誕生した握り寿司は「江戸前寿司」とも呼ばれます。江戸の前に広がり、栄養分豊富な内湾である東京湾で捕れた魚介類を使う寿司を意味します。
握り寿司の誕生後は、江戸、後の東京で長らく親しまれ、第二次世界大戦後になると全国へ広がり、さらに世界各地へと伝わっていきます。

現代:新しい握り寿司が各地で誕生
現在、寿司、とりわけ握り寿司は、日本料理を象徴する存在とされ、若手シェフたちが新たな寿司を各地で考案するなど、多様なスタイルが日常の中で楽しまれています
寿司の起源に関するよくある質問
寿司はもともとノルウェーの料理ですか?
寿司は、ノルウェーではなく日本の料理です。ただし、生サーモンを寿司に使うという発想は、ノルウェーから日本に紹介されました。1980年代、ノルウェーが養殖サーモンを日本市場で積極的にPRしたため、寿司ネタとしてサーモンが定着するきっかけとなりました。
寿司は日本料理ですか、中国料理ですか?
寿司は日本料理です。中国の料理ではありません。ただし、その最も古い形であるなれずしは、東南アジアや東アジアに起源を持つ発酵魚文化に由来し、現在の中国の一部地域を経て日本に伝わったと考えられています。
寿司はアメリカで発明されたのですか?
寿司、特に握り寿司は、日本で生まれました。アメリカではありません。一方で、カリフォルニアロールは、アメリカで生まれた寿司の一種で、巻き寿司のアレンジです。
寿司は、どのようにアメリカで発展していったのですか?
寿司、とりわけ握り寿司は、日本で発展した料理です。アメリカに起源をもち、アメリカで発展した食べ物ではありません。しかし、アメリカに伝わった寿司には、現地の好み合わせた工夫が加えられました。生魚や海苔(のり)の色に抵抗を感じる人が多かったアメリカでは、巻き寿司を裏巻きにし、アボカドやカニカマといったなじみのある食材を使って、カリフォルニアロールなどを現地のシェフが開発していきました。
寿司の起源と歴史をたどれば寿司はもっとおいしくなる

寿司の歴史や起源を知ると、食体験はより豊かになります。食の知識は、味の感じ方に影響を与えるからです。寿司の歴史は、寿司にとっての最高の調味料と言えるかもしれません。
寿司の歴史について語り合える寿司店を身の回りに探したい場合は地図〈寿司ニアミー〉を併せてご覧ください。
写真:中島健太
参考文献
巽好幸、土田美登世『富山のすしは なぜ美味しい』北日本新聞社
講談社インターナショナル『The Kodansha Bilingual Encyclopedia of Japan』
川原和久『読む寿司オイシイ話108ネタ』文藝春秋
岩波書店『広辞苑』
平凡社『改定新版 世界大百科事典』
観光庁『Sushi JTA Sightseeing Database』
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