深くて、どでかい。富山湾という「天然の定置網」

富山湾そのものが「天然の定置網」

富山の寿司文化を語る上で、富山湾のユニークな地形は外せません。

そもそも、富山湾を含む日本海は、約2500万年前まで地球上に存在しませんでした。日本列島そのものも、ユーラシア大陸の一部でした。マントルの動きによって太平洋側へ列島が引き裂かれるとともに、約1500万年前までに日本海が誕生しました。

さらに、約300万年前以降、プレートの動く向きが変化し、大地の隆起によって能登半島と佐渡島、さらには富山湾が形づくられました。

佐渡島を望んで湾口を北東に開く富山湾には、能登半島と佐渡島のすき間を縫うように、陸地のすぐ近くまで深い海底谷が伸びています。水深1,000メートルを超えるこの海底谷(断裂帯)も、日本列島誕生の過程で生まれた複雑な海底地形の1つです。

この佐渡島と能登半島がつくる地形に誘い込まれるように、ブリやマグロ、カジキといった大型の回遊魚、アジ、イワシなどの小型の回遊魚が、湾の奥まで集まる環境が生まれました。

日本列島の誕生とともに、富山湾そのものが魚を招き入れる地形、いわば「天然の定置網」となって、富山の豊かな魚食文化を支えているのです。

3種類の水の層と海底わき水が育む、富山湾

富山湾の豊かさは、地形だけによって支えられているわけではありません。海水の「層」にも、他に類を見ない特徴があります。

まず、対馬海流という暖流が能登半島を回り込み、南西から湾内へ流れ込んでいます。この暖流が海岸に近づくと、立山連峰から流れ出す河川水や沿岸でわき出す地下水と混ざり合い、富山湾独特の浅水層「富山湾浅層水」をつくります。立山連峰からの水は、豊かな森の養分の供給源にもなっています。

その下、300メートル以深には、シベリア寒気団によって冷やされた重く、養分の多い海水「日本海固有水」がたまり、オオエッチュウバイ、ズワイガニ、ベニズワイガニ、ホッコクアカエビ(アマエビ)、ノロゲンゲなどの生息域となっています。

複雑な海底地形と、異なる水の層が重なり合う富山湾では、多種多様な生き物が育まれ、約500種類もの魚介類が確認されています(日本海全体で約800種)。

この多種多様な魚介類の生息地が、海岸から近距離に存在しているため、富山の沿岸各地では漁業が発展し、寿司を含む食文化も育まれてきました。

写真:(公社)とやま観光推進機構
Masayoshi Sakamoto

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Food & FUUD MAP

このマップは、富山の地質、食文化、そして寿司スポットをひとつにまとめたものです。