ドカッと雪が降る、「水のダム」立山連峰

陸と海の生態系を豊かにする「命の水源」
富山の寿司文化とガストロノミーを語る上で、立山連峰と飛騨高地の存在は欠かせません。
標高3,000メートル級で今もなお隆起を続ける立山連峰(北アルプスの一部)と、標高1,500メートル前後の飛騨高地は、富山県内を貫く七大河川の大部分の水源となっています。
極東シベリアから吹き付ける冬の季節風が日本海を越えてぶつかり、世界有数の積雪をもたらすため、立山登山の中継基地となる室堂の除雪時には、深い場所で20メートル弱の高さに達する雪の壁(雪の大谷)が現れます。
年間降水量は約200億トンにも上るとされ(※富山大学の研究による)、そのうち約110億トンは河川となって、田畑や野山をうるおしながら富山湾へと流れ込みます。
さらに、約40億トンは、原生林の山林に染み込んで、栄養豊富な地下水脈となり、富山湾の海底からわき出します。
立山連峰は、単なる高山地帯ではなく、陸と海に水を供給する巨大な「水のダム」として、富山の自然環境を根底から支えています。
「森の栄養分」の供給源

立山連峰や飛騨高地の価値は、標高の高さと降水量の多さだけでありません。山林地帯に広がる、極めて自然度の高い森の存在もまた、寿司を始めとする富山の食文化を支える重要な資源となっています。
富山の山林は、北海道、沖縄に次ぐ全国3位(本州で1位)の植生自然度を誇ります。人工的な影響が少なく、自然のままに生育する植物が多く残る森が広がっています。
深い森を抜けて富山湾へと流れ込む水には窒素、リン酸、カリウム、ケイ素といった「森の栄養分」が豊富に溶け込んでいます。立山連峰や飛騨高地から始まる水の循環は、陸や海に莫大な水をもたらすだけでなく、海を内側から支える栄養分も送り込んでいるのです。
富山湾の浅層に供給される豊富な養分によって、珪藻(けいそう)などの植物プランクトンが育ちます。植物プランクトンが増えると、植物プランクトンをえさとする動物プランクトンも増え、動物プランクトンをえさとする魚たちも育まれます。
この命の連鎖が広がる湾内で育った魚介類こそが、富山の寿司文化の土台となっているのです。
写真:(公社)とやま観光推進機構
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