河川と大地について「滝」のような急流の河川が大地と海をつくる
清らかで速い流れが、広大な扇状地をつくる
富山の寿司文化を理解するには、県内を流れる七大河川(東から黒部川・片貝川・早月川・常願寺川・神通川・庄川・小矢部川)の働きを知る必要があります。
富山の川の多くは傾斜が急で「滝のようだ」と形容されるほど流れが速いため、砂や泥が一気に海まで運び去られ、粗い砂や石だけが川底に残ります。
この清らかな河川水と川底の特徴はアユなどの川魚にとって最適で、サクラマスの産卵にも適しています。エサとなる昆虫も多いため、桜の咲く時期にはサクラマスが川を上り、ます寿司の原材料として、最盛期の明治期には年間160トンも漁獲されました。

こうした七大河川の多くは、立山連峰や飛騨高地を水源とし、長い年月をかけて石や砂を運び続け、広大な扇状地を県内各地につくり上げてきました。
かつては洪水に悩まされ、水はけの良すぎる土壌が原因で作物が育ちにくい土地でしたが、先人たちの努力によって日本屈指の米どころと姿を変え、今では、人々の暮らしと食文化を支える基盤となっています。
流れの速い川は、海底の地形にも影響を与える

平時には扇状地を形成する川も、大雨の際には大量の土砂を富山湾へ一気に運び、その勢いで沿岸近くに深い海底谷を刻み込みます。
「藍瓶(あいがめ)」と呼ばれる深い海底谷には「富山湾の宝石」とも称されるシロエビなどが生息し、豊かな漁業を支える重要な要素となっています。
また、扇状地の下には、年間約40億トンに達する地下水が流れています。その一部は扇状地でわき水となり、市民の生活をうるおします。残りの伏流水はやがて、富山湾の海底からわき出します。
この地下水脈にも、窒素、リン酸、カリウム、ケイ素といった「森の栄養分」が豊富に溶け込んでおり、それらの養分をもとに富山湾では大量のプランクトンが育まれます。
山から始まり、扇状地を抜け、海へとつながる川は、水の循環のパイプ役を果たしながら、その過程で多くの命を育み、富山の食文化を根底で支え続けています。
写真:菓子雅史&(公社)とやま観光推進機構
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