「加工屋の使命」として海の恵みから保存食を作り続ける柿太水産6代目・柿谷政希子さん

柿谷政希子(かきたせきこ)さん

有限会社柿太水産 代表

寿司の歴史の原点となる「なれ寿司」と似た発想で、傷みの早い魚を乳酸発酵させ、保存可能な状態にした「こんか漬け」。

その伝統食文化を、能登半島の根元にある富山県氷見(ひみ)市で6代にわたり守り続ける人が柿谷政希子さんです。

イワシ、サバなどの魚を使った保存食は、福井では「へしこ」(へし込んで漬けるが語源)と呼ばれ、富山・石川にまたがる能登半島では「こんか漬け」(小糠が語源)と呼ばれます。

現代でこそ「寒ブリ」の水揚げ地として認知される氷見ですが、イワシがおいしい地域としても江戸時代から知られていたそう。あふれるほどイワシが捕れた同地では、食べきれない分が肥料や家畜のえさとして処理されてきました。

そこで、海の恵みを余すところなく活用しようと、初代・柿谷太助さんが加工屋を立ち上げ、こんか漬け作りを始めます。

製造工程は、捕れたイワシをその日のうちに水洗いし、塩をまぶして1週間重しを乗せる作業から始まります。

その後、米ぬか、麹(こうじ)、唐辛子、酒かすなどと一緒に、味噌(みそ)や醤油(しょうゆ)造りで使われた杉樽(すぎだる)に重ね入れ、1~3年かけて乳酸発酵させます。

「能登半島地震で被災した後、家業を諦めようとした時期もありました。

しかし、柿太水産のこんか漬けを楽しみにしてくださる方々の支えを通じて、もう一度頑張ろうと思いました。

加工屋の使命として、新鮮な魚が年中ある自然の恵みを無駄にしたくない、品を変え、やり方を変え、素材を最大限生かしたいと考えています」

そのように語る柿谷さんは、「プチ樽(たる)開き」を開催して人を集めたり、こんか漬けの新しい食べ方を提案したりしながら、伝統食文化を新たな層に届ける活動も続けています。

富山の自然と共に生き、その恵みを生かした食文化を守るだけでなく、新たな挑戦も続けていく柿太水産6代目の経営者は、富山の多彩な寿司文化の担い手の一人です。

問い合わせ先

有限会社柿太水産

住所:富山県氷見市北大町3-37

連絡先:0766-74-0025

写真:中島健太
Masayoshi Sakamoto

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